2012年 03月 27日

その40 <ふたたび 野の花>

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                                       つづく






もちろん、自然だって人間を傷つけています。人間は、自然に傷つけられている。
お互いに傷つけあって、一緒に生きているのがこの世界です。
生きていくしかありません。
人間同士だって、誰からも傷つけられたくなかったら、無人島へ行って一人で暮らすしかありませんものね。



農業も、林業も
自然を破壊することから成り立っています。
心なごむイングランドの牧場の続く風景も、フランスやイタリアの広々したブドウ畑も、スペインの見事なオリーブ畑も
そして日本の美しい田園風景も
すべて、もともとあった森林を破壊しつくすことで出来上がったものです。
結果、
イギリスや西ヨーロッパから、熊や狼はどんどん姿を消しつつあり(すでに絶滅した国も)、
日本でも狼が絶滅したのはご存知のとおり。
以前読んだ本の中に、日本の小学生の
「林業は木を伐ってしまうから、自然破壊でいけないと思う」
という発言が載っており、絶句したことがありますが
林業も漁業も農業も
自然を傷つけないで出来ることではありません。

でも、
相手を傷つけているという自覚があればこそ、遠慮やつつしみ深さというものが生まれて来るのではないでしょうか。
漁業ならば、獲りすぎない、
林業なら、木を伐りつつ、植林して新たな森を育てる。伐った広葉樹をもやかきして、森を再生させつつ使う。
一見、ものすごい森林破壊に見えてしまう日本の焼き畑だって
山の斜面を焼いた後、ソバを育て、大豆を育て、
同時に広葉樹の「ひこばえ」を大切に守りながら木を育て
木が育った頃に、ふたたび木を伐って薪やシイタケのほだ木にし、あとの斜面をまた焼くという
10年~15年くらいのサイクルで森を再生させながら使っていく、とても高度に知的な農業のやり方なのです。
持続できるよう、つつしみ深く使う。
そういう気持ちを、第一次産業の現場の人は持っているのではないでしょうか。
自分の手で自然を傷つけている実感があればこそ。

昨年、震災で大きな被害を受けた東北の漁師さんが、自分達の仕事を表してこのようなことを言っておられました。

「感謝しつつ命を取る」

農業や林業や漁業の本質を、これほど見事に表現した言葉を、私は知りません。



しつこい繰り返しになりますが
人間と自然はお互いに傷つけあっています。傷つけあって生きていくしかありません。
だから、私は、巷にあふれる
「自然を大切にしよう」
という言葉を前にすると、身構えてしまうのです。

大切にするって、どういうこと?
自然にはいっさい手を触れず、眺めるだけにすること?
それとも、自然を傷つけながらでも、つつしみと尊敬を持って利用すること?

考えは、人それぞれでしょう。
私は、「山の子」を描きながら、ずっと答えを考えています。



ただし、
考えつつも
現実には、「命を取る」ことをすべて人任せにし、
スーパーでタッパーに入った切り身の魚を買い、虫ひとつついていない野菜を買うのが
今の私の生活です。
家庭菜園でカメムシやヨトウムシを憎しみを込めて踏み潰すことはありますし、
山菜を採りに山に行けば色んな植物を踏みにじる。
けど、
それは食生活のごくごく一部でしかありません。



そういう生き方をしているのですから、
せめて、自然を傷つけていることを、自覚していたいと思う。
そして、傷つけあっている相手のこと、相手との関わり方を、これからも考えていきたいと思います。

ものすごく憎いけれども、限りなく愛しく大切な相手。

ああ、でも、人間同士でも、
一番憎んでいて一番愛している相手ほど、大変でやっかいなものは無いのですよね。






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by t-haruno-2 | 2012-03-27 15:25 | Comments(13)
Commented by いちしんふたば at 2012-03-27 18:19 x
こんばんわ。

楽しませていただきました。

コナラ、クヌギは木だから強いけど
シュンランは草花だから踏まれると駄目なのですね。
13話で台風で倒れたお爺さんお婆さんが去って行きましたっけ。

乱獲する人に比べれば。
踏むぐらいはいいでしょう、罪の意識は残りますね。

自然は人が手をかけてはじめ心地のいい物になると
良く言い聞かされました。
でもそれはほんとに良く自然を知っている人が
手を加えてこそのものだと思います。
それがどんなものなのか。
語れる人は少ないのではないかと思います。

イメージは3人(?)の遊ぶ姿がなんとも良い。この雰囲気なのですが。
Commented by yunkao at 2012-03-27 22:28
青子さんの、最後に自然に対して言った
「尊敬し、感謝している」という言葉が、とても響きました。
いつも自然に感謝して、
傷つけていることから目をそらさない暮らし方をしていきたいですが、
便利な生活の中では、意識していないとすぐに忘れてしまいます・・・。

シュンランがかわいかったです!
また来年会えるのが楽しみですね。
Commented by t-haruno-2 at 2012-03-28 19:50
>いちしんふたばさん
そうですね。
「いい所ねぇ~~~~~~」という言葉が出る場所は
人の行く手を拒む原始の森では無いですものね。
どういうビジョンを持って、人の手を入れるのか。
見た目だけ絵はがきみたいな場所を作ってリゾート地にしても、
それでは・・・・・・ですよねぇ。
おっしゃるとおり、
手を加える人の人間性が問題ですね。
野生動物との問題もあって
人間に心地よい自然の作り方、自然との関わり方
今の時代は特に、考えても考えても答えが遠いです。
Commented by t-haruno-2 at 2012-03-28 20:11
>yunnkaoさん
ゆっくり落ち着いてコメントを書こうと思ったので
コメントを残さずに帰りましたが
「像つかい」の方
まさに「自然を尊敬し、感謝しつつ」仕事に取り組んでいる方ですね。
像をきちんと家畜として扱い、ペット扱いせず、
かつ愛情と敬意を持って接しているのが
お話からビシビシと伝わってきます。
yunnkaoさんの的確な文章のおかげですね。
日本でも、家畜を飼うプロは皆、そういう方ばかりでしょうけど
この国のマスコミの野生動物や家畜の取り上げ方が
ペット扱いなもので、敬意も何もあったもんじゃありません。
なので、ああいう方を見ると、心が晴れ晴れしますよー。

シュンランは宿根生なので
これに負けず、来年、また復活してくれることでしょう。
Commented by kids-the-me at 2012-03-28 22:20 x
こんばんわ。
自然が近い暮しをしていると
ふとした時に命を考えますよね。

今年、里山のビオトープに産んであった
カエルの卵が半分くらいに減ってたのですが、
私達が住むことで何かしらの影響が有った
のじゃないかと気になっていました。

大雪の重みで道をふさぐほど何十本も折れた竹も
私の都合で間伐したから支えられなかったと思います。

少しずつ変化を見ながら一緒に頑張るしかないですね。

ペール缶いろいろお願いしたのですが、
結局バラバラのものばかりで8缶ほどしか
集めることができませんでした。
洗ってはいるのですが中途半端で送れずに
時間だけが過ぎてしまいました。
まだ必要であれば送ろうと思うのですが・・・。
Commented by t-haruno-2 at 2012-03-29 14:14
>kids-the-meさん
こんにちは。
住み始めると、色んな変化を感じることでしょうね。
森が伐られて棚田になって、種類の増えた生き物がたくさんいるように
kids-the-meさんの家が建って、生活が始まったことで
逆に集まって来た植物、昆虫も多いでしょうね。
でも、やはり、奪う命のことを考える機会も多いことでしょう。

ペール缶を探してくださり
洗ってくださって、本当にありがとうございます。
洗浄していただいた缶は、とてもありがたいとのことです。
是非、送ってください。

↓へ続きます。
Commented by t-haruno-2 at 2012-03-29 14:21
>kids-the-meさん
それに中途半端なんて、とんでもないです!
最初に、150缶と大量に届けてくださった方があり、もしかして「まとまった数じゃないと・・・・・・」と、皆さんが思っているのでは
と気になっていました。
でも、そもそも岡野さんは、全国のあっちこっちから1缶、2缶と少しずつ届くことをイメージしていたのです。
全国各地で、たくさんの人が東北を思い、関わるという
そういう支援を考えています。
ですから、缶の数は問題ではないのです。お気持ちが嬉しいです。
ただ、送料のかかることですから、どうぞ無理の無い範囲で
お送りくださいね。
本当にありがとうございます。
Commented by buribushi at 2012-03-29 22:36
ほんとうに深い世界を見せてくださってありがとうございます。
山歩きが大好きでしたが、病後行かなくなって7年。
今年は雪が消えたらとしきりに心が動き、それだけ回復したのでしょう。今度は年齢に追われていますが。
山を歩いて、ただたのしいだけでした。今度、山へ行ったら、シュンランのことを必ず思い出すことでしょう。

雪が消えて来て、種子はまだ蒔けませんが、今日サツマイモの苗床を作りました。藁や落ち葉を集めておいたのを、糠や竹粉と一緒にして発酵させて、その熱で苗を育てる時代遅れの方法です、自家用ですから小さい苗床。
漬け物も甘酒も、パンもドブロクも苗床もみんな発酵。イノチの大先輩、微生物の世界、楽しく有り難いです。

「山の子」は何回も読み返します。
Commented by sakko at 2012-03-30 07:53 x
お早うございます
今朝は氷のない朝です。日中は暖かなのに朝はまだ冷え込みます。
シュンランちゃんは男の子だったのですね。
前回会った時も女の子と思っていました。
このお話、足元を見て歩こうと思いました
人の思わくで自然って常に変っていっていますね
私は畑に蒔いた野菜の芽を虫に食べられて
「ごめんね。地球はみんなのものなのに・・・
でもこれは私が蒔いた野菜なので、たべないでね」と
話しかけています
「自然への畏れ」を常に忘れてはいけないと思います
不思議に今年は小鳥が少ないのですね
東日本と関係あるのかな。
鳥害がなくていいのですが、なぜが気になります
Commented by t-haruno-2 at 2012-03-30 22:26
>buribushiさん
ありがとうございます。
そうですか。この春は、「また山へ」と気持ちが動いてらっしゃるのですね。
気持ちも身体も、お元気になられた証拠ですね。
なんて嬉しいことでしょう。
雪国の春は、こちらより「いっせいに」という感じと聞きますから、山も、一気に色んな花が咲くんでしょうね?

醗酵熱で苗を育てる
って、きっと雪国ならではの知恵ですね。私、初めて聞きました!
あらゆることに醗酵の力を利用するんだなぁ
とただただ感心するばかりです。
美味しいものを作るだけじゃないんですね。すごい。

歌集をありがとうございました。
私も、気になる歌、何かが引っかかる歌を、何度も読み返しています。
Commented by t-haruno-2 at 2012-03-30 22:41
>sakkoさん
こんばんは。
ああ、なるほどー。sakkoさんの畑の野菜が、よく実るわけがわかった気がしました。
虫に話しかけているのを、野菜達が聞いているのかな。
で、この人が守ってくれてるぞ~~~~~~
と安心するのかな。
植物って、人の愛情に察知すると言いますもんね。
ところで、
寒さの底の時期、ブロッコリーの葉が鳥につつかれてボロボロ・・・・・・という記事を、皆さんのブログで毎年見ていましたが、
この冬は、そういう記事が無いな?と感じてました。
やっぱり鳥が少ないのですね?
あれだけの災害があった後ですから、何か関係があるのかもしれませんね。
菜園などをして自然に触れていると、そうした小さな変化、
寒すぎるとか雨が多すぎるとか、そういうことからも、自然に対して畏敬の念を持つようになりますね。
でも、持たない人は・・・・・・
原発事故さえ、もうすんだことと思っているのでは
と恐ろしくなってきます。
Commented by nature21-plus at 2012-04-06 00:17
はるのさん! やっぱり、「山の子」良いは。。読んでて、なんかこう…気持ちが晴れ晴れする。。。(笑)
Commented by t-haruno-2 at 2012-04-06 22:13
>nature21-plusさん
ホントですか?
ありがとうございますー。
誰かの役にチョッピリでも立てたのなら、こんなに嬉しいことはありません。


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