山の子

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2010年 05月 25日

その22 <タケノコ退治>

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                                          つづく






「竹になるまで待って伐れ」と言われてもね・・・。
どう考えても、タケノコの状態で刈ってしまった方が、楽ちんです。
地中の部分を掘り出して食べるモウソウチクのタケノコとは違い、
ハチクは、地上にビューンと伸びた部分が食べられるタケノコですから、刈った後、食料として消費も出来ますし。
(モウソウチクも、地上にビューンと伸びた部分の、先のほうは<穂先タケノコ>と呼ばれ、食べられますが)

しかし、
その後、あらたに次々と出て来るハチクのタケノコに、青子は泣くことになるでしょう。



竹のパワーというのは、本当にすごくてやっかいです。
先日、NHKのTV番組「アインシュタインの眼」で、竹について詳しく説明がなされていましたが、
竹というのは、タケノコが地上に顔を出した後、たった40日足らずで15メートルから20メートルにまで
成長するのだとか。
ヒノキが30センチに育つまでに4年、
スギが2年かかることを考えると、本当にすごい成長力だと圧倒されます。

その成長力を支えるのが、竹林の地下に張り巡らされた地下茎。
地下30センチばかりのところに、地下茎を縦横無尽に張り巡らせ、グイグイ水分を吸い上げ、
竹はタケノコを大きく育てるのです。

この成長のスピードに、他の植物はついていけませんから、
竹が繁殖し始めた土地では、他の植物は、やがて竹林に飲み込まれて枯れてしまいます。
わずか地下30センチという浅いところに、根を張り巡らせる竹ですから、
そういうものに山を覆われると、集中豪雨の時、地すべりを起こしやすくなり大変に危険です。
というわけで、実に難儀な存在、竹、なのです。



昔は、逆に、この成長のスピードが、ありがたかったことでしょう。
建材や、日常の道具類に、大量に使われていた竹です。
樹みたいに、何十年も成長を待つ必要はなし。
どんどん伐って、どんどん使える、まことに重宝な植物だったと思われます。
また、モウソウチクやハチクやマダケのタケノコが、春から初夏にかけては、食卓をにぎやかに彩ったことでしょう。

そんなわけで、昔は、農家なら所有地に、必ず植えて繁殖させていた竹。

でも今は、建材にも、日常品にも、あまり使われなくなり、伐られることもないまま、前述したように、どんどん広がって
山やら河川敷やらを覆い尽くそうとしています。



とは言え、
この先、竹の画期的な利用法・・・
例えば、バイオ燃料の材料になるとか、竹繊維をリーズナブルに作る方法が開発されるとか、
なにかのきっかけで、また竹が必要とされる時代が来るかもしれない。
50年前の日本を知っている人達には、現在の竹を取り巻く状況は、想像もつかなかったことだと思うのですが、
50年後の状況だって、今からは想像もつかないものでしょう。きっと。
なので、竹が、重宝される時代が、もしかしたら戻ってくるかもしれない。

その時には、竹の成長力が、再び、おおいに脚光を浴びることになるのでしょう。



そういう時代が来ることを信じて、
私としては、まぁ、今は、悲観的にばかりならず、竹林の手入れに取り組むほかないのですが、
上手に竹の数をコントロールして、毎年タケノコ狩りを楽しみたい・・・
となると、イノシシの問題にもぶつかります。
イノシシは、タケノコが大好物。
タケノコ狩りの出来る竹林を維持していくと、イノシシの餌場を作ってしまう結果にもなりかねないのです。
実際、
私は、↓こういうハチクの竹林を皆伐し、
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翌年の春、漫画の中の青子のように泣くはめになりましたが、
イノシシに対しては、タケノコ畑を作ってやったようなものだったらしく、
その翌年の春からは、
タケノコの出る季節には、イノシシにボコボコとタケノコを掘り返されるようになってしまいました。
・・・いや、
今から思えば、最初の年も、結構イノシシに掘り返されていたのかもしれない。
タケノコの勢いの方が強くて、目立たなかっただけで・・・。

ともあれ、そういう事情もありますので、
イノシシの被害に悩まされている土地では、タケノコのために竹林を維持するというのは、どうかな・・・?
と思うのが、正直なところです。
ですから、漫画の中では、青子にも、竹林は皆伐させました。
漫画にも描いたとおり、
皆伐後の最初の春、出てきた竹を徹底的に伐れば、
光合成が出来なくなるせいか、次の春からの竹の勢いは、随分と弱まります。
3年目にもなれば、かなり楽に、すべてを伐り払ってしまえるはずです。
4年もたつと、ほとんどタケノコは出なくなるでしょう。そうすれば、イノシシの餌場も無くなるわけです。

もちろん、地下茎が残っている限り、
油断して10年も放っておけば、またこういう状態に戻ってしまうのですがー・・・。↓
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ハチクのタケノコ自体は、モウソウチクに比べてアクが少なく、下処理の楽な、扱いやすい食材です。

前述したように、地上に出て伸びた部分を伐って食べます。

採ったその日のうちなら、皮をむいて数分ゆでるだけで食べられます。
1分、2分・・・とゆでながら、時々かじってみてアクの抜けぐあいを確かめると良いでしょう。
翌日以降に下処理する場合は、
ゆで時間を長くするか、お湯に重曹か米ぬか、塩などを入れた方がいいかもしれない。
この場合も、時々かじってアクの抜けぐあいを確かめるのが、一番でしょう。

今の日本の市場は、タケノコ = モウソウチク という感じで、
他のタケノコをスーパーで見かけることは、ほとんどありませんが、
扱いやすいハチクのタケノコなどは、
竹林の皆伐を助けるためにも、もっと市場に出て、食べられても良いのではないか
と思います。
美味しいですし!



<ハチクのタケノコとアサリのペペロンチーノ>
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(私のお借りしている区画では、もうタケノコは出ないので、
まだ皆伐されていない、他の場所でタケノコを採って来て作ったものです)






        このブログ上の漫画、写真、文章の著作権は、すべて高橋はるのにあります。
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by t-haruno-2 | 2010-05-25 16:36
2010年 05月 01日

その21 <獣たちと人と 3>

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アニメ映画「もののけ姫」の冒頭に出て来るアシタカの村は、シシ垣で囲われていました。
シシ垣の脇には、高い櫓(やぐら)があり、
シシ垣を超えて侵入して来る野生動物がいないか、見張りが立って、警戒をしていました。
明治に入るまで、この国の山間部の集落では、普通にあった光景だそうです。
私の住む香川県にも、シシ垣が残っています。
「二十四の瞳」で有名な小豆島は、かつて総延長120kmにもなるシシ垣で、島全体が囲われており、
その一部が、現存しています。
江戸時代に作られたものだそうで、高い所では高さ1.6m、幅が60cmにもなる土の壁が、
200mにわたって残っているのだとか。

そんなシシ垣も、明治に入って、急速に無用の物となっていきました。
ニホンオオカミの、最後の生息確認が、1905年。明治の38年。
ニホンカモシカが、国の天然記念物に指定されたのが1934年。昭和9年。
一般市民が猟銃を自由に使えるようになり、
いかにあっと言う間に野生動物が数を減らしていったのかがわかります。
もちろん、
ニホンオオカミには、外国から入って来たジステンパーの流行も致命傷になった・・・など、
他の要因もからんでの頭数減少でしょうが、
猟銃の普及がなければ、それでも細々と生きながらえていたかもしれない。
彼らだけではなく、
毛皮や肉が売れることもあり、鹿、イノシシなども、どんどん数を減らしていったのが、
明治から昭和の高度経済成長期にかけての、日本の姿だったようです。
約100年、
人間の優位が続いたことになりますね。

高度経済成長の時期に入って、状況が変わったのは、漫画に描いてきたとおりです。
今や、獣は優勢を取り戻し、
生活を守るため、シシ垣を復活させ、集落を囲む地域も出てきています。
現代のシシ垣ですから、土や石ではなく、丈夫な金網だったり、鉄の板だったりしますが。

しかし、
そういったシシ垣に囲まれた集落を「動物園の檻の中」に見立て、
「今や、人間が檻の中に暮らし、動物がその周りをのし歩いている」
というふうに、まるでみじめな状況のように表現する新聞やTV番組があるのは、とても気になるところです。
みじめもなにも、
ほんの150年前までは、
そうやって野生動物から暮らしを守りながら、野生動物を恐れて生きてきたのが人間だったというのに。
たった150年の間に、
<動物 = 動物園の檻の中にいるもの>
<人間 = 動物よりえらい>
という考えが、一般常識になってしまったんでしょうか。
だとしたら、ゴウマンもいいところ!不勉強もいいところだと思います。マスコミは。



不勉強といえば、半年くらい前だったか、
NHKの教育TVの番組で、とんでもないシーンが流れていたことがあります。
水彩画を描くとか、写真を上手に撮るとか、そういう趣味講座の番組だったと思うのですが
                                        (あやふやですみません)
講師だか生徒だかの中年男性が、番組の中で、神戸は六甲山のロックガーデンへ行った。
すると、男性の前に1頭のイノシシが現れたのです。
六甲山中は、もう何十年も前から、住宅地や観光施設の駐車場にイノシシが出没し、
ゴミを荒らすなど問題になっている地域で、
最近では、観光客がイノシシに食べ物をやることもあるらしく
駐車場には「イノシシに餌付けをしないでください」という看板が立つ所も、あるのだとか。
そういう場所なので、イノシシの登場には驚かなかったのですが、
驚いたのは、そのイノシシを前にした中年男性の行為です。
そのおっさん、
なんと、すっとしゃがんで、前に手を出し、
まるで猫でも呼ぶように、「ちょっちょっちょっちょっ」とイノシシに呼びかけた!


「なにやってんやーーー!!!
野生動物を人間に慣らしてどうするねん!ペット扱いしてどうするねん!」


私がTVに向かって叫んだのは、言うまでもないでしょう。
ショックだったのは、その男性の行動もたいがいにショックでしたが、
NHK教育TVが、その行為を「何の問題も無い」というふうに、平気でTVで流したこと。
つまり、この番組のディレクターも、野生動物に対するこういう行動に問題を感じない・・・ばかりか
こういう行動が「動物を愛する」だとか「動物を可愛がる」ってことだと思い込んでいる
ということなんでしょう。



冗談じゃありません!






野生動物にとって、人間の食べ物というのは、衝撃的に美味しいものらしいです。
・・・そりゃそうですよね。
普段、生のタケノコとか、生のドングリとか、草の新芽とか食べている生き物が
砂糖と油脂と、化学調味料タッッップリの人間の食べ物を口にしたら、メチャクチャ美味しい!!!と驚くはずです。
そして、一度それを口にすると、もう忘れられず、
それをくれた「人間」に、また寄って行くとか、
その食べ物の匂いにつられて民家に近づくとか、ゴミ箱をあさるとか、
そんな行為を繰り返すようになる・・・。
例えば、山の中で、無神経な人が、ポイッと弁当の残りを捨てて行く。
すると、それを拾って食べた熊が、人間の食べ物の匂いを覚えてしまい、民家のゴミ箱や台所を目指す
ということもあるのだとか・・・。
六甲山の駐車場に出没するイノシシも、一度もらったお菓子とか弁当の残りだとかが忘れられず、
すっかり餌付けされてしまっているのでしょう。

でも、

そうやって人間の生活場所に現れるようになった野生動物は、
ゴミを散らかすとか、人間にケガをさせるとか、農作物を傷めるとか、
そのうち何かトラブルを起こすもの。
そうすると、
駆除という形で殺されるのです。
餌付けした人間は罰せられずに、動物が殺される。

それを考えると、野生動物に安易に食べ物をやったり、人間に慣れさせたりするのは、
相手を愛するどころか命を縮めているだけ
だと思えるのですが。
加えて、人間の食べ物は、カロリーたっぷり、塩分たっぷり、添加物たっぷり。
そんなもの、野生の生き物に与えて、健康を害さないのでしょうか・・・・・・・・???



というようなことから、私は前述のNHK教育TVに出てきた男に
「このどアホ~~~~~~~~!!!」
と叫んでしまったわけですが、
この男性、食べ物は所持していませんでした。
なので、イノシシも、男性の方を見てじっとしているだけで、寄っては来ませんでしたが・・・、
手に食べ物があったら
間違いなく駆け寄ってきて、お菓子だのサンドイッチだのをもらって食べていたことでしょう。
・・・・・・・・そんなシーンが全国に流れなくて良かった・・・・・・・・
というのが、せめてもの救いです。



たった150年の間に、人間と野生動物との関係は
<人間優位>
<野生動物は可愛いから食べ物を与えてやる>
というふうに、相手をなめきったものになってしまったようです。

けれども、漫画にも描いてきたとおり、<人間優位>は、もはや都会だけの話。
野生動物が勢力を増している山間部で、野生動物を人に慣れさせる行為は、
野生動物のためにも、人間のためにもなりません。

遠くから、その存在を認識し、達者で暮らせよ、と願う。

野生動物に対しては、そのように考えを変えていく時期に、来ているのではないでしょうか。
(ふれあいたければペットを飼うとか、動物園のふれあいコーナーへ行って可愛がればいいのです)






正直言って、このような漫画を描くのはつらかったです。
こんな問題、暗いし、やっかいだし。読んでる人だって、イヤでしょうし。

けれども、
NHKが、
全国放送で、あんなシーンを平気で放送してしまうのを見てしまった以上、だまっているわけにはいきません。
あの男性が、「地方の現状を知らない」ために、ああいう行動をしたのだとすれば、
知らせなければ、
伝えなければ、
と思います。
また、里山の暮らしを描いている以上、
農業や林業への鳥獣害について、描かないですますわけにはいきませんし。

実を言えば私も、
まだ里山に通い始めて間もない頃、
私達の里山に鹿が現れた際には、珍しさのあまり、写真を撮ったり、じっと眺めたりしていました。
でも、
今度会ったら、もうそんなことはしません。
民家の周りに現れてはいけない!
もっと山奥で暮らせ!
と、石を投げておどします。棒を振り回して追いかける鬼ババになるつもりです。
それが、鹿のためなのだから。
自然との共存というのは、けっして美しいものではなく、苦しく厳しいものだと思います。



救いの無いこの漫画に、長々とつきあい、最後まで読んでくださった皆さま、
そしてコメントを書き込んでくださった皆さまには、深く感謝をいたします。
本当に、ありがとうございました。






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by t-haruno-2 | 2010-05-01 17:03