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山の子

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2013年 03月 22日

その46 <野の花の季節>

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                            つづく






伝統行事が今も盛んな沖縄。
特に豊作を祈願するお祭りは、各島で盛大に行われています。
八重山諸島の竹富島で、豊年を祈って毎年行われるのは、種子取祭。
「タナドゥイ」「タニドゥリィ」などと呼ばれ、
旧暦の9月~10月に10日間をもかけて行われる、島最大の行事だそうです。

豊作を祈るお祭りが「種子取祭」というのが、とても興味深い。
豊作というのは、食べるに十分な作物が得られるだけではなく
来年蒔く良い種も十分に採れる
ということなのでしょう。

種メーカーが無かった時代、農家は来年の種、それも立派で良い種を確保してはじめて
「良かった、良かったー!」
と心から喜び、唄い踊ったんだろうと思います。

現在は、プロの農家もメーカーから種を買う時代。
それも、形や大きさの揃うF1の種を選びますから、いきおい在来種や固定種の野菜は栽培されなくなっています。
全国各地で何百年も受け継がれてきただろう品種が、どんどん姿を消していくのはなんともやり切れないことですが
F1の種を悪く言うばかりも出来ません。
メーカーが開発した病気・害虫に強いF1品種は、農家にとってとても助けになる味方でしょうし
かれこれ10年前、
私が家庭菜園を始める際、手に取ったのもF1品種。
ビギナーでも失敗することなく野菜作りができる、作りやすいF1種があったからこそ、
私は気軽に家庭菜園を始められたのだし
最初から収穫の喜びも得られたし
おかげで今も「人生の趣味」として家庭菜園を続けていられるのだし・・・・・・・・・。
万が一、天候不順や害虫の発生で大凶作になったとしても
昔の農家なら、翌年蒔く種が無く村中で飢えるばかりですが
今は、次の年、またホームセンターで種を買えば野菜作りを続けられる。なんとも安心な話です。

ただ、
農家も家庭菜園家も自家採種せず、このまま種を買い続けていていいんだろうか?
という思いは、今、強くなっています。

遺伝子組み換えの種子が現れたからです。

巨大バイオテクノロジー企業が開発する遺伝子組み換え作物には、
たとえば「除草剤に耐性のある品種」というのがあります。
つまり

「この大豆はAという除草剤をかけても枯れない遺伝子を持っている。
 なので、Aという除草剤を撒けば周囲の雑草は枯れるけれども、この大豆は元気に育ち続ける。
 だから、この大豆の種豆とAという除草剤をセットで買ってください。」

そういう商売が出来るわけです。
やがてはその除草剤に耐性を持つ雑草が、必ず生まれてくるというのに。

または
大地に落ちても決して発芽しない種子を持つ作物
というのも開発されているそうです。
つまり、自家採種してもその作物は絶対に発芽しないから、
企業から種を買い続けなくてはいけない・・・・・・・・・。

さすがにこの遺伝子を持つ種子はあまりにも危険なので、
世界中どこの国の政府も流通を許可していないそうですが
万が一、この種子が研究所の外にもれて
突然変異を起こして他の植物と交配してしまったら・・・・・・・・・
植物の世界はどうなってしまうんでしょうか?

もう何か、「美味しくて、病気に強くて、たくさん実る品種を作ろう!」とかの志とは
まったく違う意思を感じます。この研究開発には。

たとえば将来、
人類にとって大変な脅威になる、毒性の強い植物が大繁殖してどうしてもこれを根絶しなくてはならない
というような時、この技術が役に立つのかもしれない。
バイオテクノロジーメーカーも、そのつもりで発芽しない種子を開発したのかもしれない。
そう信じたいですが
この話を聞いた時に感じる恐ろしさって何なのでしょう。

気がかりなのは、
巨大バイオテクノロジー企業が大金持ちで、世界の大手種子メーカーを買収したり吸収合併したりしていること。
また、
このような巨大企業にシェアを奪われて、
在来種の種を作り続けているような中小の種メーカーが廃業を余儀なくされていること。

確かに自分で種採りしなくても、いつでも欲しいだけ種が買えるのは便利だしありがたい面もあります。
でも、
そうやって誰も自分で種を採らなくなって
ふと気がついた時、
大地に落ちても芽吹かない種しか売っていない世界になっていたら・・・・・・・・・
どうなるんでしょうか。ただの杞憂なんでしょうか。これは。






ただの杞憂に終わらせたいので、私は菜園で出来るだけ自家採種をしています。
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ただし、上手く種採りまで持っていけなかった時は、F1の種を買ってやり直す・・・・・・・・・
くらいの気楽さで(でないと続きません)。
今の時代、プロの農家が自家採種で種をまかなうのは色んな意味で大変でしょうけれども
家庭菜園レベルなら、そう難儀なことではありません。

ただ、
自家採種で野菜作りを続けると
もとのF1の野菜とは違った形、味に変わっていくものもあり
F1の姿を「理想形」にしているとガックリくることがあるかもしれません。
でも、
なに、江戸時代、この国には大根だけでも練馬大根や守口大根など、
数百種類もの在来種が各地に存在していたんだそうです。
自家採種をしていれば、野菜はタフにその土地に性質を合わせ
やがては、個性豊かな「自分ちの野菜」が生まれるのでしょう。

家庭菜園で実った作物を収穫する時、野菜への感謝の気持ちがわきますが
種採りまですると、その感謝が倍増します。
「本当にありがたい」と思う。
昔の竹富島のお百姓さんも、本当に嬉しかったことでしょう。



これは「鬼あきた」と勝手に名づけて自家採種を続けている、うちの畑の唐辛子。今年で4年目に入ります。
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過去2年は「鷹の爪」と同じくらいの、まあ普通の辛さでしたが
3年目の去年、モーレツな辛さの唐辛子に育ちました。


この先どうなっていくのか(どこまで辛くなっていくのか・・・・・・・・・)。
「うちの野菜」の個性が、とても楽しみです。

by t-haruno-2 | 2013-03-22 16:51


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